2023年度北海道支部大会「口頭発表・ポスター発表審査結果・講評」

2023年度北海道支部大会「口頭発表・ポスター発表審査結果・講評」

 

審査概要

・学生の口頭発表は5件,ポスター発表は28件の応募がありました。

・「新規性」「論理性」「表現力」「質疑応答」の4点について審査員7名(口頭発表3名,ポスター発表4名)による審査を行いました。

全体的な講評(口頭発表)

対面での発表が再開された昨年と比べて発表件数はわずかに少なくなりましたが,今年も幅広い研究内容が集まり,それぞれしっかりとした専門性に基づく興味深い発表であったと感じました。また,いずれのテーマも,地域の課題や社会のニーズに寄り添った,すぐれた着想の研究であったことが印象的でした。

審議の結果,今年度は上位三名が僅差で並びましたが,総合的に優れていると判断された発表1件に口頭発表優秀賞を,着眼点やテーマ等が優れていた2件に口頭発表奨励賞を授与します。

・口頭発表優秀賞(1件)

大越 陽(北海道大学大学院農学院),松島肇,植野 晴子

「宮城県気仙沼市三島海岸における防潮堤法面緑化上に出現した徘徊性昆虫群集」

仙沼市三島海岸の覆砂・緑化施工された防潮堤法面において,グリーンインフラとしての生物多様性への寄与を評価するために,徘徊性昆虫の生息状況の把握を行った研究です。発表では,出現種の詳細が提示されておらず,生息環境に関する踏み込んだ解析が無いといった問題点もありましたが,一般に見落とされがちな生物群に焦点を当て丁寧な調査・取り纏めが行われた点が高く評価されました。今後のさらなる研究の発展が期待されます。

・口頭発表奨励賞(2件)

内田 英利香(北海道大学大学院農学院),愛甲 哲也

「札幌市内の水遊び場利用者の実態とニーズに関する研究」

物的・社会的環境や管理水準などの構成要素が異なる水遊び場を対象に,訪問者の選択志向や期待する要素の違いを明らかにした研究です。アンケートの調査デザインからある程度予想された結果ではあったものの,得られたデータに対して仮説検証を通じてシンプルに分かり易く纏められていた点などが総合的に評価されました。今後,データが蓄積されることでさらなる研究の深化が期待されます。

 

相川 萌音(北海道大学大学院農学院),愛甲 哲也

「札幌市の公開空地の植栽形態及び緑視率と歩行経路・滞留との関係」

札幌市における民有地緑化と利用実態の関係を把握するために,植栽形態・緑視率が異なる公開空地において歩行者の経路と滞留程度の違いについて調べた研究です。行動観察だけではなく緑化要素について定量的な評価を試み,両者の関係を取り纏めた点が独創的で新規性に富んだ研究であると評価されました。今後,こうしたアプローチがさらに洗練されることで研究の多面的な発展が期待されます。

 

全体的な講評(ポスター発表)

28件のポスターの中で,共通して4名の審査員の目に留まったものは,泥臭く,労力を惜しまず現地に足を運び,現場感覚をもって取り組んでいると感じられたもの,ポスターの表現や質疑などのコミュニケーションを通して自分らしさが表れていると感じられたものとなりました。

その中でも,仮説に基づく研究の一定の成果が表れ始め,その上で今後の課題を明確化できていると判断された1件にポスター発表優秀賞を,今後の研究の発展性への期待や多様な視点から物事を捉えポスターの表現として完結性が高いと感じられた2件にポスター発表奨励賞を授与します。

・ポスター発表優秀賞(1件)

大庭 夕佳(北海道教育大学教育学部(函館校)),五十嵐 稜馬,村上 健太郎

「iPad Pro搭載のLiDARは森林調査を効率化し得るか」

iPad Pro搭載LiDAR及びスマホアプリによる樹木の胸高直径の計測の効率化について調査した研究です。研究対象とする技術の有効性について仮説をたて,現場での検証を経て一定の成果が現れ始めていること,その上で今後の課題を明確化している点が評価されました。効率よく精度の高い森林調査の実施を可能とする技術開発は,現場技術者だけでなく社会的な要請として高まりつつあることから,今後の研究の深化が期待されます。

・ポスター発表奨励賞(2件)

小林 雅果(札幌市立大学デザイン学部)

「馴染む 〜境界のグラデーション〜」

地域や土地のポテンシャルを活かしながら新たな魅力を引き出す大倉山シャンツェの複合計画について検討されたものです。自然条件,利用上の課題はもちろん,競技者の視点もふまえるなど,デザインにあたって多様な視点からアプローチし,その論理の組み立てが形として表現されていました。ポスター表現の完結性の高さとともに,質疑応答についても的確に回答されていたことが評価されました。

 

上畑 拓欣(札幌市立大学デザイン学部)

「太陽光発電設備の設置拡大に伴う景観的課題点の明確化」

自然景観あるいは都市景観における太陽光発電設備の設置の課題を明らかにしようとする研究です。自身の問題意識に基づき,具体的なデザイン提案まで見据えて,現地に足を運び,現場感覚をもって取り組んでいることが評価されました。問題意識と社会課題がマッチした実用性の高さが感じられ,今後の研究の進展が期待されます。

 

2023年11月8日 | カテゴリー : 支部大会 | 投稿者 : jilah

2023年度 日本造園学会北海道支部大会案内(第1報)

主催:公益社団法人 日本造園学会北海道支部

共催:一般社団法人 ランドスケープコンサルタンツ協会北海道支部,

一般社団法人 北海道造園緑化建設業協会

後援:国土交通省北海道開発局,環境省北海道地方環境事務所,北海道,札幌市,

■会期・会場

・会期:10 月 28 日(土)

・会場:札幌市立大学まこまないキャンパス(札幌市南区真駒内幸町2丁目2-2 まこまる内)

   ※感染症の状況により,オンライン開催に変更する可能性があります。

   詳細は今後,支部ホームページにてお知らせします。

■プログラム

9:00 受付開始

・研究・事例報告(口頭発表)    09:30 – 11:30

・研究・事例報告(ポスター発表) 11:30 – 12:30

・シンポジウム「北海道の公園150年(仮)」 13:30 – 16:30

     日本造園学会賞受賞者講演:冨塚 豪 氏(北海道建設部まちづくり局都市環境課公園係長)

     基調講演:小林 昭裕 氏(専修大学経済学部教授)

     造園学会賞受賞特別講演:近藤 圭 氏(札幌市)、大久保 市郎 氏(函館市)

    パネルディスカッション:「北海道の公園のこれまでとこれから」

    【パネラー】

     椎野 亜紀夫 氏(札幌市立大学・教授)

        市村 恒士 氏(室蘭工業大学・教授)

     愛甲 哲也 氏(北海道大学・准教授)

     近藤 圭 氏(札幌市)

        大久保 市郎 氏(函館市)

    【コーディネーター】

         小林 昭裕 氏(専修大学・教授)

・総会・表彰式・交流会           17:00 −

    【発表者の表彰】

           口頭発表,ポスター発表それぞれから優秀な発表を学生部門・一般部門ごとに選出し,支部として表彰いたします。

           審査結果と受賞者発表は,北海道支部ホームページ上で公開します。

■発表・大会参加申込

大会にて口頭発表・ポスター発表,ならびに参加をご希望の方は,事前申し込みが必要となります。発表者と参加者では申込期限が異なりますのでご注意ください。

【申込フォーム】

口頭発表申し込みフォーム(申込期限:9月15日(金)正午まで)
https://x.gd/coJH7
ポスター発表申し込みフォーム(申込期限:9月15日(金)正午まで)
https://x.gd/0aR9R
一般参加者の事前申し込みフォーム(申込期限:10月20日(金)正午まで)
https://x.gd/jiVGi

口頭発表,ポスター発表を発表者としてお申込いただいている方は手続き不要ですが,連名者で参加予定の方は参加申込をお願いします。

参加費は当日,会場にてお支払いください。

■大会参加費(資料代)

一般:1,000 円  学生:無料  交流会:1,000円

■CPD

造園 CPD プログラム申請中(口頭発表2単位,ポスター発表1単位、シンポジウム3単位)

■問合せ先

日本造園学会 北海道支部事務局

060-8589 札幌市北区北9条西9丁目 北海道大学 大学院農学研究院 内

担当:松島 肇 電話 011-706-2451 

2023年8月9日 | カテゴリー : 支部大会 | 投稿者 : jilah

ランドスケープ研究会 ワークショップ:文化から発想するランドスケープデザイン

趣旨

 従来のランドスケープデザインでは見逃されてきた「形の発想」を、地域の文化誌から取りだす方法をワークショップで体験学習します。

 国土交通白書でも多文化共生が謳われる時代となってきましたが、地域独自の文化や先住民の文化をどうランドスケープデザインに生かした上で、独創的なデザインを行う方法は、暗中模索の現状です。

 このワークショップを通じて、ともすれば非科学的とされ、それゆえ文化とも主観ともされてきた地域らしさ:歴史的文化的要素を無理なくデザイナー個々人の創作活動に取り入れ、文化と独創の両立したデザイン発想を行えるようになりましょう。

ワークショップ

 先住民の文化を記述したものを民族誌といい、文化人類学では多くの蓄積があります。このなかから汎用性と発想のしやすさの観点で「ボルネオ・プナン族を調査した民族誌資料」「樺太アイヌを調査した民族誌資料」のどちらかを事例に選び、実際に先住民社会の文化を取り入れたランドスケープデザインを行います。

 時間内でのイメージスケッチ(立面か平面)の完成をめざします。

対象者

 造園学会会員、造園をはじめ建築、土木、インテリアなど住環境全般をデザインする実務者と学生、文化に関係する実務者、研究者

この設計技法の特徴

・簡単

・歴史や文化が反映されたデザインになり、かつ、わざとらしくならない

・デザイナー自身の発想が誘発され、創造的なデザインになる

・でき上がったデザインに、ユーザー個々人が自分なりの思いを育むことができる

・クライアントやユーザーに説明しやすい


日時

2023年9月14日木曜日、18:30〜20:30

場所:札幌市立大学サテライトキャンパス

各自でそろえる道具

紙(ノートなど)と筆記用具(鉛筆など)。定規類は不要です。

当日のプログラム

 前半は一般的な方法と注意点の説明、後半は実際にデザインを行い、最後に合評会を行います。

その他

 今回のワークショップ風景やでき上がったスケッチは今後の研究データとしての活用を予定しております。その際には個人を特定できる情報は破棄いたします。


【参加費】お一人700円(資料代等)
【参加募集人数】10名程度(満員になり次第募集を締め切ります)
【申し込み・問合せ先】
(有)風土計画舎    片桐尉晶(保昭)
047-0021 小樽市入船4丁目5番3号
電話0134-23-1309 mail: KGD02626@nifty.ne.jp

協賛:北海道デザイン協議会/北海道民族学会

※この研究会は造園CPDプログラムです。

[ID:7610] 2023-09-14 「ランドスケープ研究会 ワークショップ:文化から発想するランドスケープデザイン」
[単位]2.0
2023年7月3日 | カテゴリー : 研究会 | 投稿者 : jilah

見学会「北広島市の新旧ランドスケープを巡る~F VILLAGEを中心に~」のご案内

今年の日本造園学会北海道支部見学会は、『北海道の公園150年』(令和4年3月発行)より、「北広島市の公園史」に記されている北広島市の新旧のランドスケープ、国史跡「旧島松駅逓所」と今年開業した「北海道ボールパーク Fビレッジ」に焦点を当て、注目の施設を巡ります。

主催:公益社団法人日本造園学会北海道支部


日時:2023年8月20日(日) 9:30(札幌駅北口集合)~17:00頃(札幌駅北口解散)

見学先:旧島松駅逓所(北広島市)、F VILLAGE(北広島市)、サッポロビール庭園(恵庭市)*

*「サッポロビール庭園」は、状況により見学しない場合があります。

参加定員:33名(申込先着順)

参加費:(施設入場料を含みます)

  • 一般(会員以外)       4500円
  • 一般(日本造園学会会員) 3500円
  • 学生(会員以外)       3500円
  • 学生(日本造園学会会員) 2500円

申込期限:7月14 日(金)18:00までにpeatixよりお申し込み願います。

https://jila-hokkaido20230820.peatix.com


島松駅逓所は、明治以降最も早くに建てられた駅逓の一つで、札幌本道(現・国道36号)の開通に伴い、交通の要衝として設置されたものです。また、札幌農学校(現・北海道大学)教頭として、米国から招かれていたクラーク博士が、明治10年4月の帰国の際、見送った生徒たちに対し、「ボーイズ・ビー・アンビシャス」という有名な言葉を残した地でもあり、「クラーク記念碑」が建てられています。

北海道ボールパーク F VILLAGEは、昭和45年の広島町総合開発計画で、野球場、プール、テニスコート等を配置した総面積56haの総合運動公園建設構想が計画されたことに始まります。平成5年には総合運動公園計画地を都市計画決定し、平成8年に基本設計が実施されました。平成27年に国が進める官民連携の推進方策に倣い、総合運動公園における官民連携による整備の調査に着手しました。平成30年にボールパーク建設候補地として正式決定され、運動公園の核となる新球場が日本初の屋根開閉式の天然芝フィールドとして今年開業しました。

また、F VILLAGE GARDENは、北海道を中心に国内外で高い評価を得る高野ランドスケーププランニングが監修、ガーデン・デザインは、「チェルシー・フラワーショー2019」ゴールドメダリストの柏倉一統氏と佐藤未季氏が担当しました。

F VILLAGE GARDENは高野ランドスケーププランニングの村田周一氏(日本造園学会会員)が解説します(予定)。また、エスコンフィールドは、グランドウォークをはじめ、チームエリアやインタビューエリアなどボールパークの裏側をファイターズガールの案内で見学します。

2023年話題のF VILLAGを含む、北広島市の新旧ランドスケープを設計者の解説付きで巡る見学会へ、皆さまのご参加をお待ちしております。日本造園学会員以外の方も大歓迎です。


ツアー・コーディネート及び問い合わせ先:

太田広(日本造園学会北海道支部運営委員会)

hpcsenmu【@】hoso-jigyo.or.jp

*【@】は半角@に変更して下さい。

2023年6月8日 | カテゴリー : 見学会 | 投稿者 : jilah

第14次『北の造園遺産』の募集について

「ランドスケープ遺産」及び「北の造園遺産」候補の募集

 

                         (公社)日本造園学会北海道支部

 

日本造園学会では各支部と共同して、全国的に「ランドスケープ遺産」の収集と目録の作成を進めております。造園・ランドスケープに関わる空間で、将来に向けての保全を検討すべき対象を把握すると共に、目録を作成して記録に残していくものです。また北海道支部では、それらの中から特に優れたものを『北の造園遺産』として認定し、顕彰する活動を行ってきました。

これまで13回の募集を行い、その結果約200件のランドスケープ遺産の収集が行われました。また、その中から選考委員会により、合計38箇所を『北の造園遺産』として認定しております。

今年もまた、別紙の要領に基づいて募集を実施いたします。みなさんの身近なところや旅行先で気付いた場所など、様々な造園やランドスケープに関わる事例を推薦していただきたいと思います。

趣旨にご理解の上、積極的にご応募頂きますようお願いいたします。

※第14次北の造園遺産募集要領

※北の造園遺産応募用紙(PDF)


「ランドスケープ遺産」及び「北の造園遺産」候補の募集要領

                         

(公社)日本造園学会北海道支部

 

(1)募集対象

北海道に現存し、造園・ランドスケープに関わる空間で、将来に向けての保全を検討すべき対象であり、公園や庭園、街路樹や並木、造園材料や造園の道具なども含まれます。

歴史的・文化的な遺産の場合においては、概ね整備後約50年を目途としますが、それ以下でも選考対象としますので、ふるって応募下さい。当初形態が変化していても、ランドスケープとして持続的に存続しているものを含みます。ただし、跡地となっていて営みが停止していたり、消滅しているものなどは含みません。

例えば、空間としては下記のようなものがあげられます。

・    デザインされた空間・景観(公園、庭園、並木・街路樹など)(イベントを含む)

・    生活・生業・信仰等により形成された空間・景観(文化的景観など)(イベントを含む)

・    時代・文化の中で価値付けられた空間・景観(国立公園など)(イベントを含む)

・    生態学的特性など自然科学的な学術上の価値に特徴のある空間・景観

・    その他(現存する空間・景観以外の計画・設計図書、道具・用具、品種など)

(2)記載内容

できるだけ多くの事例をあげ、次の事項を記載して下さい。

  • 名称(名称がない場合は事例の様子を適宜表現して下さい)
  • 所在地(市区町村名)、および地区等
  • 事例として取り上げた理由など:事例の概要、作品等においては完成した年代や社会的な重要性を示す年代、また、自然的なものにおいては、保全すべき事由や契機など、広く「北の造園遺産」候補として取り上げるべきとの考え方を簡潔に記載してください。

(3)応募資格

  どなたでも応募できます。(学会員でなくても応募できます)

(4)応募方法

名称、完成年、所在地、推薦理由などを「北の造園遺産応募用紙」に記入し、提出して下さい。なお、個人情報については、「ランドスケープ遺産及び北の造園遺産候補応募用紙」および資料に関する連絡に使う以外、公開公表致しません。

※北の造園遺産応募用紙(PDF)

原則としてデーター(isan@hokkaido.jila-zouen.org)でお送り下さい。郵送の場合は、大変恐れ入りますが、送料のご負担をお願い致します。

(5)応募締め切り

 2023(R5)年 3月31日

(6)審査方法

ご推薦いただいた候補は、北海道支部の北の造園遺産研究会で予備審査を行い、選考対象の絞り込みとランドスケープ遺産の目録づくりを行います。ある程度絞り込まれた候補は、支部に設置される「北の造園遺産選考委員会」によって審査にあたり、その中から特にすぐれたものを「北の造園遺産」として認定します。

皆様の応募によって、目録の内容やカテゴリーが決定されるという側面がありますので、できるだけたくさんの応募をいただきますようよろしくお願いいたします。

(7)提出先

(公社)日本造園学会北海道支部事務局

  005-0864 札幌市南区芸術の森1丁目 札幌市立大学デザイン学部内

            担当:椎野亜紀夫 

      電話011-592-2617 、e-mail isan@hokkaido.jila-zouen.org

 

【参 考】 

 ■ランドスケープ遺産について

これまでに道内で収集されているランドスケープ遺産は約200件あります。

次のようなものが含まれています。

「都市公園、庭園、自然公園(森林、湖沼、湿原、山岳地、海岸、温泉、キャンプ場等)、社寺・境内(社寺林等)、学校・キャンパス、並木・街路樹、植物園、緑地(防風林、防雪林、海岸林、都市林、自然林等)、産業遺産(農場、牧草地、橋梁、炭鉱等)、レクリエーション施設(ゴルフ場)、造園樹木 など」


第14次北の造園遺産募集要領

※北の造園遺産応募用紙(PDF)

2022年度北海道支部大会「口頭発表・ポスター発表審査結果・講評」

■審査概要

  • 学生の口頭発表は8件,ポスター発表は20件の応募がありました。
  • 「新規性」「論理性」「表現力」「質疑応答」の4点について審査員7名(口頭発表3名,ポスター発表4名)による審査を行いました。

■全体的な講評

・口頭発表

オンラインで行われた一昨年及び昨年より発表件数が多くなり,活発な研究発表・議論が行われたのが印象的でした。コロナ禍の難しい時期であったにもかかわらず,新規性・独創性・論理性に富んだ熱心な研究が多く,造園学の発展に寄与できるセッションであったと思います。

審議の結果,今年度は総合的に優れていると判断された発表1件に口頭発表優秀賞を,着眼点や独創性等がそれぞれ優れていた2件に口頭発表奨励賞を授与します。

・ポスター発表:

 大学での演習課題や卒業研究の中間報告が大半を占めましたが,優れた着眼点をもって新規性の高い研究テーマに取り組んでいるもの,独創的な発想のもと主体的に取り組んでいるものがみられ,今後の展開に期待が持てる発表が多い印象でした。

以上を踏まえ,特にテーマの新規性,主体的な取組み姿勢や質疑応答が高評価で,総合的に優れていると判断した2名にポスター発表優秀賞,研究テーマの今後の発展に期待が寄せられた2名にポスター発表奨励賞を授与します。


  • 口頭発表優秀賞(1名)

陳 絵(北海道大学大学院農学院)、愛甲 哲也

「ヤシ侵食防止マットの施工によるチングルマの種子定着効果」

高山植物チングルマの保全のために,国立公園内で用いられている侵食防止マットの効果を検証することを目的とした研究です。研究目的や論旨が明瞭であり,既往研究の整理や実験・野外調査手法の説明,結果・考察も含めて聴講者への適切な情報提示が行われており,質疑応答も含めて最も優れていたと評価されました。今後,更なる研究の深化が期待されます。

  • 口頭発表奨励賞(2名)

卓 一豪(北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院)、上田 裕文

「中国広西チワン族自治区における「農家楽」観光の均一化問題に関する考察 ―風景イメージスケッチ手法を用いて―」

 風景イメージスケッチ手法を活用してアンケート調査を行い,中国における農村観光の一形態である「農家楽」リゾートの均質化問題について分析を試みた研究です。発表では,結果や考察の提示が充分になされていないようにも見えましたが,発表者らが過去数年にわたって意欲的にこの研究に取り組んできたこと,熱心なフィールドワークによる研究であること等が総合的に評価されました。今後の更なる研究の発展が期待されます。

北沢 一樹(北海道大学農学部)、愛甲 哲也

「富士山におけるCOVID-19前後での登山者の変動に関する研究」

富士山の登山ルートを研究材料に,コロナ禍での国立公園訪問者の行動変化のあり方について明らかにしようとした研究です。得られた結果をどのように公園管理や情報発信に結びつけるのかなど,課題があると考えられますが,新規性・独創性に優れた研究であること,はきはきとした発表・質疑応答ができていたこと等が評価されました。今後の研究の発展が期待されます。


  • ポスター発表優秀賞(2名)

髙橋 麗未(札幌市立大学デザイン学部)

「水景空間における水影の研究」

水景空間における新たな演出手法として,水面の照り返しである「水影」に着目した新規性のある研究であり,卒業研究の中間報告ということもありますが,研究の着地点を見据えて取り組んでいる点が高く評価されました。また質疑応答の際の適切な受け答えや,研究に対する主体的な取り組み姿勢なども評価されました。

王 ロ(北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院)、上田 裕文

「SNS写真から洞爺湖における観光客がGeodiversityに関する認識を考察する ー支笏湖との比較を通してー」

洞爺湖の水辺景観に対する観光客の認識について,SNSの投稿内容を分析する研究手法に独自性が垣間見えるとして評価されました。また質疑応答の場面で質問者に対して真摯に回答する姿勢が認められ,研究テーマの着眼点と合わせて総合的に優れていると高く評価されました。

  • ポスター発表奨励賞(2名)

佐藤 美月(室蘭工業大学理工学部)

「サイバー空間での遊びの特性に考慮した現実空間の外遊び環境の整備に関する研究」

サイバー空間での遊びというきわめて現代的な研究であり,サイバー空間での遊びの特性と,現実空間での外遊び環境との関連性についてしっかりとした問題意識を持って研究に取り組んでいる点,今後の発展に期待が持てる新規性のある研究テーマであることが評価されました。

姫野 南美(北海道教育大学函館校教育学部国際地域学科)、四ツ屋 和、村上 健太郎

「北海道南部における海浜植生の種組成とその成帯構造」

道南地域における海浜植物の成帯構造を把握し,都市化の影響を明らかにしようとした研究で,現地でのフィールドワークを通して着実に研究を進めていること,研究テーマとしての継続性が評価され,また研究内容の社会への波及についても自身の考察をしっかりと持っている点が評価されました。

 

以上

2022年10月27日 | カテゴリー : 支部大会 | 投稿者 : jilah

2022 年度日本造園学会北海道支部大会案内(第4報)

2022 年度日本造園学会北海道支部大会案内(第4報)


主催:公益社団法人 日本造園学会北海道支部

後援:国土交通省北海道開発局,環境省北海道地方環境事務所,北海道,札幌市,

公益社団法人 日本都市計画学会北海道支部,

一般社団法人 ランドスケープコンサルタンツ協会北海道支部,

一般社団法人 北海道造園緑化建設業協会

■会期・会場

・会期:10 月 22 日(土)

・会場:北海道大学農学部 4階大講堂(札幌市北区北9条西9丁目)

※感染症の状況により,オンライン開催に変更する可能性があります。

詳細は今後,支部ホームページにてお知らせします。

■プログラム

11:30 受付開始

・研究・事例報告(ポスター発表) 13:00 – 14:00

・研究・事例報告(口頭発表)    14:00 – 16:40 

・総会                        17:00 −

【発表者の表彰】

口頭発表,ポスター発表それぞれから優秀な発表を学生部門・一般部門ごとに選出し,支部として表彰いたします。審査結果と受賞者発表は,北海道支部ホームページ上で公開します。

■大会参加申込

参加予定の方は,下記から申込をお願いします(申込期限:10月21日(金)正午まで)。

    https://onl.la/B2gygDn

当日参加も受け付けております。大会当日,会場受付にてお申し出ください。

  なお口頭発表,ポスター発表をお申込いただいている方は手続き不要ですが,連名者で参加予定の方は参加申込をお願いします。

参加費は当日,会場にてお支払いください。

■大会参加費

一般:1,000 円 学生:無料

■CPD

造園学会北海道支部大会の各プログラムは造園CPD認定プログラムとなっています。
[ID:7113] 2022-10-22 「2022年度日本造園学会北海道支部大会 研究・事例報告/ポスター発表」
[単位]1.0
認定番号:22-0268
[ID:7114] 2022-10-22 「2022年度日本造園学会北海道支部大会 研究・事例報告/口頭発表」
[単位]2.0
認定番号:22-0269
 
登録を希望される方は,受講・閲覧 参加証明書をダウンロードし,参加費の領収書を添付した上で自己登録をするようお願いいたします。

■問合せ先

日本造園学会 北海道支部事務局

005-0864 札幌市南区芸術の森1丁目 札幌市立大学デザイン学部内

担当:椎野亜紀夫 電話 011-592-2617 メール a.shiino@scu.ac.jp


本年度は,交流会は行いません。

支部大会参加申込,詳細なプログラムは今後,北海道支部ホームページ(https://www.hokkaido.jila-zouen.org/)およびメーリングリスト「北の造園広場」にてご案内します。

最新の情報をお受け取りになりたい方,また北海道内の日本造園学会会員の方は,メーリングリストへのご加入をおすすめします。北海道支部ホームページ内の登録フォームよりお申し込みください。

2022年10月5日 | カテゴリー : 支部大会 | 投稿者 : jilah